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山椒は”うなぎ”限定の香辛料にあらず!合う料理は使い方について詳しく知ろう

2023.9.7

鰻

「小粒でもピリリと辛い」と言われる山椒。その特徴から、用途は鰻もしくは焼き鳥に振りかけて食べるというケースがほぼでしょう。

しかし実は食べるだけでなく、漢方薬に用いる生薬として使われることもあるのだそう。

そこで今回は、山椒の特徴や美味しく食べる方法などについて紹介していきます。

日本を代表する香辛料「山椒」の特徴や作り方を知ろう

わさび、生姜、辛子、ニンニクなど、日本には数多くの香辛料が存在します。

そしてそれらは、数多くの用途があることで知られ、親しまれているものばかりです。

一方、今回フォーカスする山椒はどうでしょう?まずは山椒の基本事項について紹介していきましょう。

山椒とはどんな香辛料なのか?

まず山椒とは何か?調べてみると・・・”香辛料として使われるミカン科の植物であり、日本のみならず東アジアが原産とされている”とあります。

そして山椒は原産国から世界中に輸出されており「ジャパニーズペッパー」として広く知られているそうです。

ちなみに味は独特なピリッとした辛さに加え、爽やかな清涼感ある香りが印象的で、日本では”うなぎ”や焼き鳥のお供としてはもちろん、シラスと混ぜて食すのがポピュラーです。

山椒ができるまでの流れを知ろう

最近では家庭菜園などで野菜や香辛料を自身で育てる方が増えています。

中でも、ハーブなどの香草は場所を取らずに育てることができるため、キッチンなどの小さなスペースに鉢植えを置いている方も少なくないでしょう。

そして山椒も実は個人で育てることが可能な植物なのですが、鉢植えだと難しいので、あまりおすすめはできません。

山椒は日当たりの良い場所で植えるのが良いでしょう。

土質は選ばないものの、多少湿った土の方がよく育つと言われているため、夏場などは土壌が乾きやすいため、マメに水をあげた方が良いのだそう。

結果として山椒を苗木から育て、実を収穫するまでの過程はさほど面倒ではなく、ネットや本などで調べるとわかるように、そこまで育てるのが困難な植物ではなさそうですが、実を採るためには雄株と雌株の苗が必要であり、それらが両木揃って初めて実を付けることを覚えてきましょう。

ちなみに、種まきから始めた場合、実際に実がなるまでは少なくとも3〜5年程度かかり、苗木から始めても2年以上かかるそうです。

山椒の産地と収穫期は?

山椒は日本各地で栽培されていますが、生産量No.1は和歌山県(2018年時点)で全国シェアは58%にも上り、生産高は528.5t。

そして、同県の中で主要産地となるのは有田川町、紀美野町、紀の川市で、栽培面積もまた全国で最も広く167haとなっています。

ちなみに、山椒国内シェアNo.2は高知県で31%となっており、国内では和歌山と高知でほぼ独占している状況で、No.3以下のシェア率は一ケタに甘んじています。

また、山椒の収穫期について気になる方もいると思いますが、栽培する土地や種類、さらには栽培時期によって収穫のタイミングは大きく異なるため、明言することはできませんが、実山椒は5〜6月頃に小売店に出回るケースが多い様です。

山椒が合う食べ物やおすすめの食べ方について

おいしい鰻丼 和食

山椒の基本情報は前章でまとめた通りです。そして同章では、今回のキモと言える山椒の愉しみ方について綴っていきます。

料理に添えるスパイスとしてはもちろん、食材の一つとして使うメニューもあるのだそう。

割と単調な使い方をしている方が多いと思うので、是非以下を読んで新しい山椒の愉しみ方を知り、試してみることをおすすめします。

山椒の種類とその効果について

独特の辛味があることから、山椒は主に薬味や香辛料として使われます。しかし、山椒にはいくつか種類があり、個々で用途が異なります。

そこでまず、山椒の種類について紹介していきます。

●葉山椒・・・山椒の若葉のことを葉山椒といいます。小売店では「木の芽」として販売されているので、見たことがある方も多いでしょう。ただし実山椒とは違って辛味はほぼありません

●花山椒・・・花山椒とは、実をつけない雄株の花の蕾を摘んだもの。こちらも葉山椒と同様に辛味は少なく、柔らかな香りが印象的です。尚、中華料理で使われる「花椒」と間違えられますが、全くの別物になります

●実山椒・・・前記したように、花山椒は雄株の花の蕾を摘んだものであることに対し、実山椒は雌株についた実を収穫したものになります。ご存じの通り、独特の香りや強い辛味が特徴で、主に香辛料として使われます

以上になります。多くの方が山椒として認識しているものは「実山椒」であり、それを乾燥させ、皮の部分をすり潰して粉状にしたものがいわゆる「粉山椒」であり、実の部分は佃煮などに使われるのが主です。

そして、なぜ山椒が料理に使われるのか?について説明していきましょう。

前記した様に、山椒の特徴は独特の香りと強い辛味。料理の臭みを消したり、アクセントとしてふりかけますが、味だけでなく山椒が身体に良い影響を与えてくれることも好まれる大きな理由の一つなのです。

例えば、山椒に含まれる「サンショオール」という成分は新陳代謝を活発にする効果があるため、発汗作用が高まります。

結果、冷え性対策に有効だと言われているのです。

さらに、サンショオールの効能はそれだけにとどまらず、大脳を刺激し、内臓の動きを活発にする作用もあるため、胃腸の働きを整える効果も期待できます。

また山椒にはサンショオールだけでなく、ポリフェノールも含まれています。

ご存じの方も多いと思いますが、ポリフェノールは抗酸化物質であり、細胞の酸化による老化や免疫力を低下させてしまう恐れがある活性酸素を除去する働きがあるのです。

抗酸化作用に加え、冷え性対策にも有効な山椒は、正に女性の味方とも言うべきスーパーフードであることは間違いないでしょう。

山椒の美味しい食べ方とは?

前項では山椒の種類や特徴について紹介してきましたが、気になるのは『どうやって食べるのがいいの?』という点でしょう。

そこでここでは、種類別におすすめの食べ方を紹介していきます。

●葉山椒の美味しい食べ方・・・葉山椒には辛味がなく、爽やかな香りが大きな特徴となります。つまり、シソなどと同じような使い方がベターで、吸い物やちらし寿司などに加えると風味が豊かになり、一層美味しさが増します

●花山椒の美味しい食べ方・・・あまり知られていませんが、花山椒は実山椒と同様に佃煮として食されるケースが多いようです。また、鍋に花山椒を大量に入れて楽しむ「花山椒鍋」には、独特の臭みがある猪肉を使ったものや春菊や山菜を大量に入れたものなど、香りと味を同時に堪能できるメニューも多くあります

●実山椒の美味しい食べ方・・・実山椒と言えば、何と言っても佃煮がポピュラーでしょう。中でも、ちりめんじゃこと実山椒を合わせた「ちりめん山椒」は京都の名物として広く知られています。また、花山椒と同様、肉や魚の独特な臭みを取り除く効果もあるため、実山椒も青魚や獣臭の強い肉などと合わせて使われるケースが多いようです

山椒を使った商品とおすすめの購入方法について知ろう

香辛料としてはもちろん、山椒を使った商品はかなり多く販売されており、中には土地の名物として広く親しまれているものも少なくありません。

しかし、山椒にはいくつか種類があり、それぞれに味や風味が異なるため、見ただけでは味を想像することが難しいかもしれません。

そこでここでは、山椒を使った商品のレビューやおすすめの購入方法などについて紹介していきます。

山椒を使った商品は非常に豊富

今回の記事で紹介した通り、山椒には葉山椒・花山椒・実山椒・粉山椒など、様々な種類があることに加え、銘柄も個々にいくつもあります。

つまり、その分商品のバリエーションも多く、一見してどの商品がどんな味でどう美味しいのか? を見極めるのは難しいと思います。

そこで次項では、筆者が厳選した山椒を使ったおすすめの加工商品を紹介していきます。

おすすめの山椒とその購入方法について

奥出雲山椒 ジャコのり 頼むからごはんください

イメージはご飯に乗せるペーストタイプの海苔の佃煮ですが、同商品は奥出雲で栽培された朝倉山椒と有明のじゃこ、そして瀬戸内海産の海苔を合わせた佃煮です。

パッケージにも書かれているのですが、これを乗せることでご飯が進むともっぱら評判で、テレビ番組などでも再三紹介された逸品。

とにかく販売するとすぐに売り切れてしまうため、かなり入手が困難な模様。もし売り切れていなければ、すぐに注文すべき商品です。

山椒オリーブオイル

こちらは珍しい山椒を使ったオリーブオイルです。使われている山椒は島根県雲南市で自家栽培されたフレッシュなもの。

それに本場イタリア産の上質なオリーブオイルを合わせた逸品こそ、この山椒オリーブオイルなのです。炒め物に使うと、山椒独自のピリリとした上品な辛味が加わり、メニューに一層の旨みを引き出してくれます。

また、ドレッシングやマリネとして使えるだけでなく、パンを浸してそのまま食べるのもおすすめです。

前記したじゃこのり同様、こちらも超人気商品となっていますので、即購入必至の逸品と言っても過言ではありません。

奥出雲のはじかみ

そして今回最もおすすめしたい山椒こそ、この「奥出雲のはじかみ」に他なりません。

ちなみに「はじかみ」とは山椒の古名であり、かつて日本では山椒のことをそう呼んでいたのだそう。同商品に使われている山椒は島根県で栽培された実山椒で、実が緑色の状態で手摘みされたものをミニボトルに入れています。

ちなみにミニボトルはミルになっており、ボトル上部を捻ることで粉状の山椒が出てくる仕組みになっているので、いつでも香り立つフレッシュな山椒を堪能できます。

うなぎにはもちろん、吸い物やパスタなどに直接振りかけて愉しむのがおすすめです。

ちなみに同商品も売り切れ必至の超人気商品になっていることは言うまでもないでしょう。

まとめ

山椒は食材ではないため、単体で食べて美味しいというものではありません。

料理に加えるエッセンスとして、はたまた健康補助食品として摂取している方が主でしょう。

しかし、「ジャコのり」や「山椒オリーブオイル」のように、食卓における主役級の活躍ができる商品も珍しくありません。

今回の記事で山椒の隠れたポテンシャルに気づいた方も少なくないと思いますので、これを機に毎日の食卓に欠かせない一品として山椒を加えてみてはいかがでしょうか?