食の歳時記 いずも庵 ブログ

幻の野菜「出西生姜」がとんでもなく美味しいと言われる理由

2023.3.30

出西生姜

あらゆる国や地域の名物や名産品は、その土地で愛されるだけでなく、広く知られ様々な場所で親しまれているものも少なくありません。

一方、優れたものにも関わらず、残念ながらあまり広く知られていないものが多いのも事実です。

今回紹介する「出西生姜」もその一つかも知れません。品種ごとに味や風味が異なるのは言わずもがなです。

地域の住民に愛され続ける幻の野菜「出西生姜」もまた、他の生姜とは一線を画す独自のものだそう。

一風変わった幻の生姜とは、一体どんな特徴を持っているのでしょうか。

幻の野菜「出西生姜」とは?

島根県は出雲平野の西部、斐川町出西地区で生まれた出西生姜は、この地域でしか育たないというブランド野菜です。

詳しく言うと、出西地区にある斐伊川(ひいかわ)の下流から約2キロの範囲でしか栽培することができないとされています。

旬の時期は8〜10月までとされており、夏から地元のスーパーなどに並び始めるのだそう。

ちなみに、出西生姜は約400年もの歴史を誇っており、かつては大名の献上品として重宝されていたと言われています。

出西生姜の大きさと形は?

出西生姜は決して大きな野菜ではなく、通常の生姜よりもひと回り以上小さいものです。

例えるなら親指サイズの根で、わずか2センチ程度のものが主だそう。また、広く食されている茶色の根生姜とは違い、艶のある白色である点も出西生姜の特徴です。

葉が付いている状態だと大体50〜60センチあり、時期になるとその状態で少なくて4トン、多い時だと10トン出荷され、北海道から沖縄まで、全国各地に配送されると言われています。

出西生姜はどんな味?

味や風味の特徴はどうか?というと、普通の生姜とは全く異なっており、一口含むとピリっとした強烈な辛味と、上品な香りがします。

噛むとシャキッとした歯応えがし、小さいにも関わらず食べ応えがあり、小粒でも大きな満足感を得ることができます。産地は限られているので、旬の味は解説した通りです。

しかし、旬を過ぎた10月頃になると、若干風味が変わると言われています。とは言えそれはどんな作物でもあることです。味が大きく変わることはないと言えるでしょう。

出西生姜を美味しく食べる方法は?

出西生姜

普通の生姜とは味・風味共に異なる出西生姜。ということはつまり、生姜を使った一般的な料理ではなく、出西生姜に合う料理や独自の食べ方があります。

ここでは、出西生姜をより美味しく食べる方法や、出西生姜を使った商品などについて紹介していきます。

出西生姜の食べ方~出西生姜本来の味をお楽しみください

①生食

旬の時期に限定されてしまいますが、地元の方は出西生姜を千切りにして、刺身醤油で食すのがポピュラーだとか。

旬の時期を過ぎたものでも生食は可能ですが、旬のものと比べて、若干辛味が増すそうなので、新鮮な味を愉しみたいなら、7、8月頃の生食がおすすめです。

②生姜ご飯

出西生姜の風味や歯応えを愉しむにはもってこいの一品と言えるのが生姜ご飯です。材料と作り方は以下の通りです。

<材料>

●出西生姜・・・30g

●米・・・・・・2号

●だし昆布・・・1枚

●料理酒・・・・大さじ2

●薄口醤油・・・小さじ1

●塩・・・・・・小さじ1/2

<作り方>

・出西生姜を粗くみじん切りにする

・洗った米と材料を混ぜて炊飯器に入れて炊く

・炊き上がったらすり下ろした出西生姜をかけて混ぜる

普通にご飯を炊く時にちょっとした工夫を凝らすだけで、風味豊かな出西生姜ご飯の出来上がりです。ピリリとした辛味と歯応えが病みつきになること間違いなしです。

③出西生姜の醤油漬け

生食やご飯と同じくらい手間なく美味しく食べることができるレシピこそ、この醤油漬けです。材料と作り方は・・・

<材料>

●出西生姜・・・2本

●濃口醤油・・・60ml

<作り方>

・出西生姜の葉の部分を5センチほど切り落とし、根の表面の皮も取り除く

・生姜自体に醤油が染み込みやすいように、生姜を半分に切る

・出西生姜を器に入れて醤油を加え、空気が入らないようしっかりと密封する

・最低でも3日間冷蔵庫で寝かせる

漬け込む時間によって味の深みは増しますが、食べごろは5日から1週間程度置いたものだそう。

温かいご飯の付け合わせとして愉しむのが最も美味しい食べ方ですが、お酒の肴としてもおすすめです。

出西生姜はどんな商品に使われている?

出西生姜商品サンプル

出西生姜のレシピは前記した通りですが、加工商品も多く販売されています。中でも人気のものを厳選して紹介すると・・・

●出西生姜を使った生姜糖

歴史ある甘味として人気の生姜糖の中でも、出西生姜を使った生姜糖は絶品だと評判です。

特に來間屋の「ひとくち生姜糖」は出西生姜の独特な辛味と砂糖の甘さが相まって、一般的な生姜糖にはない独自の旨味を持った逸品です。

形状は昔ながらの板状ですが、セットで購入すると、通常と紅色、そして抹茶粉を混ぜて加工した抹茶味の3種類の生姜糖を愉しむことができます。

茶席での一品として、はたまた贈答品としてはもちろん、気軽に愉しめるおやつとしても大変人気です。

●出西生姜糖液

言うなれば出西生姜のシロップです。愉しみ方は様々あり、料理のアクセントとして使うもよし、色々な飲み物で割って飲むのもよいでしょう。

お湯割りや炭酸水割り、さらには紅茶に入れて生姜紅茶に入れるのも一興だと思います。

ジンや焼酎などのお酒で割るのも美味しいと思いますよ。色々な飲み物に入れて、オリジナルドリンクを作ってみることをおすすめします。

●出西生姜パウダー

そして、もう一つご紹介したいのは出西生姜パウダーです。

もちろん、添加物は一切含んでおらず、出西生姜のみで作ったパウダーになります。用途は多々あり、料理に入れるのはもちろん、お味噌汁の中にそのまま入れたり、シロップ同様お飲み物に溶いて味わうのもおすすめです。

利点は味のみならず、保存が楽だという面もあります。何せ生姜は足が早く、特に出西生姜は夏季の作物なので保存がとても難しいと思います。

しかしパウダーなら保存期間が長く、一年中いつでも独特の味や風味を愉しむことができるのです。もちろん、個体そのままの風味までは望めないと思いますが、十分に出西生姜の良さを愉しむことができるでしょう。

出西生姜を購入する方法は?

最後に気になる購入方法についてご紹介します。足が早い時期物とあって、時期を逃してしまうと購入は難しくなりますが、確実に手に入れたいなら、ぜひ以下の手段を覚えておくべきです。

価格は購入場所によって異なりますが、産地が限られているため、時期が同じであればどこで購入してもほぼ味は変わりません。

産地で直接調達する

やはり産地で直接購入したいと考えるなら、出雲の道の駅やスーパーなどで購入すべきです。

小売店なら価格は取り寄せるよりも安価である上に、採れたての新鮮な状態のものが手に入る点も魅力です。

しかし、県外からの購入を考えた場合は、やや移動に手間と時間、そして余計な費用までかかってしまうあたりが難点かと思います。

ネットショップで購入する

遠方からわざわざ出西生姜を購入するために鳥取へ行くのは難しいという方は、ネットで購入するべきでしょう。

送料はかかるものの、確実に手に入れることができます。ただし、出西生姜は人気商品なので、特に出回って間もない旬の時期は売り切れてしまうこともしばしば。

販売時期を逃さず、収穫時期に差し掛かったら毎日でも販売状況を確認しにいくべきでしょう。購入できるサイトは以下に紹介した通りです。