冬の気配が本格的になり、日本列島が分厚い雲に覆われる頃。
厳しい寒さ、荒々しい日本海の波。この環境こそが、山陰の極上の食材を育むゆりかごなとなります。
この地で暮らす人々は、自然の厳しさに立ち向かい、恵みを無駄なく、そして最も美味しくいただくための知恵を代々受け継いできました。
その集大成こそが、「鍋」にほかなりません。
山陰の鍋は、単なる料理ではありません。それは、漁師町の豪快さと、里山の滋味深さ、そして何よりも故郷への深い愛情が、熱い湯気となって立ち上る、魂の料理なのです。
この記事では、年間数十本の鍋を追い求める私が、島根と鳥取を徹底取材し、心から感動した「絶品ご当地鍋」を厳選してご紹介します。
松葉ガニの豪華絢爛な味から、地元民しか知らない隠れた郷土の味まで。さあ、あなたもこの冬、山陰の鍋の奥深い世界へと足を踏み入れてみませんか?
上品な脂が溶け出した至高の逸品:鴨鍋

鴨鍋と聞くと滋賀が有名ですが、出雲そばがセットになった鴨鍋が当店で大人気のため紹介させていただきます。
鴨の上品な脂とクセの少ない柔らかい鴨肉が〆のそばと抜群に合います。
縁起の良い出雲そばなので年末の年越しそばとしてたくさんの注文をいただきます。
私も何回か年末の年越しそばにはこの鴨鍋を買って年を過ごしていますが、何だか次の年は良いことが立て続けに起こっている(様な気がします。)
ぷりぷりの歯ごたえと極みのスープ:大山どり鍋

大山どりは専用の飼料により鶏の腸内バランスを整え脂乗りが良くぷりぷりの肉質に仕上がります。
そんな大山どりのお肉がたっぷり入った大山どり鍋は絶品という他ありません。
スープはしじみダシを使用し、鶏の旨味が引き立つ仕様に。
じっくりと炊き出された出汁には、天然のコラーゲンがたっぷり。
温まりながら、お肌の潤いもサポートする、特に女性に嬉しい美容食としての側面も持っています。
とにかくスープが美味しく雑炊にするとお米一粒一粒にスープの旨味が凝縮され最後まで至福のひと時を過ごせます。
冬の味覚の王様を堪能する:『松葉ガニの蟹すき・カニ鍋』

島根・鳥取の冬を語る上で、松葉ガニ(ズワイガニのオス)を抜きにしては始まりません。
この地方の蟹すきは、まさに食のエンターテイメント。特に、境港(鳥取県)や賀露港(鳥取県)、大社(島根県)といった主要な漁港周辺では、水揚げされたばかりの活きの良いカニをその場で味わうことができます。
カニ鍋の魅力は、その出汁の変化にあります。
始まりの出汁
昆布だしをベースとしたシンプルな出汁で、まずカニの身だけをしゃぶしゃぶのように軽くくぐらせていただきます。熱によって一瞬で花開く身は、口の中でトロリと溶け、上品な甘みと旨味が弾けます。
中盤の醍醐味
カニの足、胴、カニ味噌、野菜を投入し、煮込むにつれてカニの濃厚なエキスが出汁全体に溶け出します。この頃になると、黄金色に輝く出汁は、ただの昆布だしから、「究極のカニ出汁」へと進化します。
シメの極意
そして何と言ってもシメの雑炊です。カニの全てのエキス、野菜の甘み、すべてを吸い込んだ米粒は、まさに至福の味。
ここで絶対に外せないのが、残ったカニ味噌を雑炊に混ぜ込むことです。
磯の香りと濃厚なコクが加わり、一口食べれば思わず唸るほどの極上の一杯となります。
鳥取の「とっとり松葉がに」と、島根の「しまね海洋館アクアス」近くで獲れるカニなど、地域によって味わいや漁法に若干の違いがあるのも、この地域のカニ鍋巡りの醍醐味と言えるでしょう。
見た目から想像できないおいしさ:ばばちゃん鍋
知る人ぞ知る鳥取のご当地鍋が「ばばちゃん鍋」。
この”ばばちゃん”は深海魚のタナカゲンゲの事を指しています。
飛び出した頬骨とぎょろっとした目、ぎざぎざした歯の見た目から「ばばあ」と呼ばれています。
その見た目とは裏腹に鍋に入れるとプリッとした身に口当たりはふんわり。
皮はコラーゲンたっぷりで美容の側面も持つことから県外からのリピーターも多いそうです。
近年ではこの料理を出すお店も減っているので食べる機会も少なくなったのが残念。
深海魚と言ったら定番の:あんこう鍋

見た目なら先ほど紹介した「ばばあ」ことタナカゲンゲに引けを取らないあんこう。
あんこうと言ったらあんこう鍋がなじみ深いですが、そのルーツは茨城で漁師が作る「どぶ汁」からきています。
”ばばあ”だったり”どぶ”だったり散々な名前ですが味は一級品です。
先ほどルーツは茨城と言いましたが島根県の浜田の漁業でもあんこうが多く獲られ賑わいを見せています。
当店も期間限定でアンコウ鍋の素を販売しておりますがプリプリの身に肝まで入ったお得感満載のあんこう鍋をお楽しみいただけます。
市販の小さいあんこうではなく8~12㎏のおおきいあんこうの身を入れているのでしっかりとした食感とおいしさを味わえるのがポイントです。
里山の滋味溢れる鍋:冷えた体に染み渡る『しし鍋(猪鍋)』

山陰地方は、日本海に面した海の幸だけでなく、中国山地の豊かな森が育む山の幸もまた格別です。
特に奥出雲や大山といった山間部では、昔から猪(しし)肉を食べる文化が根付いています。
冬の冷え込みが厳しい山里で、猟師たちが体を温めるために作ったのが、この『しし鍋』です。火を通す前の鮮やかな見た目から”ぼたん鍋”とも呼ばれていますね。
猪肉は、一般的な豚肉とは比べ物にならないほど、赤身に濃厚な旨味があり、脂身は上質な甘さを持っています。
特に寒い時期の猪肉は、脂肪が蓄えられ、その質の高さはまるで芸術品。
山陰のしし鍋は、しばしば味噌仕立てにされます。これは、猪肉特有の獣臭(ジビエ臭)を味噌が和らげ、旨味を引き出すためです。
地域によっては、隠し味に地元の酒粕や、香り高い山椒を入れることもあります。
具材は、猪肉のパワフルな旨味に負けない、ゴボウや大根、コンニャクなどの根菜類が主役。
特にゴボウは、猪肉の脂を吸い込み、滋味深い味わいになります。一口食べれば口の中に里山の静寂と、自然のエネルギーが広がるような力強い感動を覚えることでしょう。
私も小さい頃はおばあちゃんの家でこの”しし鍋”を食べていました。
おいしい、おいしいとばくばく食べていた記憶がありますが、今は貴重なグルメとなって食べる機会が減ったので、「もっと味を噛みしめながら食べてくれ」と当時の私に言いたいです。
山陰のソウルフード:『あごだし鍋(トビウオ鍋)』

「あごだし」という言葉を聞いて、「どんな魚だろう?」と思われた方もいるかもしれません。「あご」とは、山陰地方や九州地方で呼ばれるトビウオ(飛魚)のことです。
「アゴが落ちるほど美味しい」ことから「あご」と呼ばれるようになった、という説があるほど、地元では古くから珍重されてきた高級魚です。
その魚から取る出汁を「あごだし」と言いますが鍋のスープにも相性抜群なのです。
主体で使うというよりはベースのスープに入れるというイメージ。
主体にするならおでん一択です。(おでんは鍋なのかという疑問がありますが、それは一旦置いておいて・・)
とにかく飛魚出しを入れることで抜群の風味と旨味を演出し最高の「鍋」が出来上がります。
市販の鍋のスープが一気に料亭の味になりますのでぜひお試しあれ♪
こちらは当店でも販売していますし、鍋だけではなく色々な料理に入れても美味しく仕上がるので万能調味料として重宝すること間違いなしです。
地域限定鍋:『鳥取の牛骨ラーメン鍋』

鳥取中部のご当地ラーメン「牛骨ラーメン」は今や全国にも広まっている程有名ですがそのスープを鍋にしてしまおうという発想で牛骨ラーメン鍋ができました。
あっさりとしていながら濃厚な牛骨の旨味と香ばしさが野菜やお肉と合います。スープを一から作るのは大変なのでスープの素を通販などで取り寄せて作ってみてください。
残念ながら当店では販売しておらず・・。取引先が見つかったらまた報告させていただきます。
言い忘れていましたが〆はもちろんラーメンで。
まとめ
島根と鳥取の鍋は、まさに『海と山の交響曲』です。←何を言っているんだ
とにかく山陰には海の幸と山の幸が豊富でどれも鍋の食材になり色々な”おいしい”を体験できます。
山陰に立ち寄ったらぜひご紹介した鍋をお召し上がりください。
通販でお取り寄せできるものは当店でお買い求めいただくと喜びます!!